映像屋 ≠ カメラマン
業界外の人からみると映像屋=カメラマンと思う人も多いですね。映像屋には演出家(ディレクター)もいれば編集マン(エディター)もいるし、映像専門のシナリオライターだっています。
映像業に携わっているからといって、みながカメラが得意というわけではありません。ディレクターならば絵作りはできるだろうとサブカメラをやらせたら、まったく使い物にならないってこともありました。
僕もカメラマンではない
僕はプロデューサーです。
でもやはり友人や知り合いにカメラ(スチール)を頼まれることが、実際にたびたびあります。そういう時僕は必ず「僕の仕事はムービー制作業です。写真業ではありません。ましてやカメラマンではありません。カメラは素人です。それでもいいならば」とお断りしてから引き受けます。
プロ用機材は持たない
で、カメラはもちろん自前ですが、本当のプロが使うハイエンドな機種は絶対に買いません。レンズも中の下ていどのものしか持っていません。だって、いくらカメラはプロではありませんと断っても、プロ用の機材を持って臨んだら、やはりプロ級の写真が撮れなきゃ、映像のプロとしてはちょっと癪だし、信用もいくらか下がっちゃう。
シャッターの数では負けない
ただし、その代りシャッターはむちゃくちゃ数多く切ります。フィルムじゃないですからシャッターはいくら押したってお金は掛かりません。ナイスショットの可能性だけはそれだけアップします。もちろん闇雲ではありませんよ。あれこれ設定を変えて。しょぼい望遠レンズでも数撃ちゃフレームに収まってくれることもある。
ただし、後で取捨選択する作業が莫大な手間
やはり頼まれて引き受けた以上、画像を見た人に喜んでもらいたい。そこは映像屋としてのサービス精神というか、人が喜ぶ顔を見るのが好きという、僕の人間性?としての基本です。
写真を上手く撮るコツ
ところで、よく「上手く写真を撮るにはどうしたらいいですか?」と、カメラマンでもない僕に尋ねる人がいます。
僕はそういう時にはこう答えます。
写真は愛
ではないですか?と。あなたがいま見ているものを、どうしても伝えたいという熱意があるならば必ず「いい写真は撮れる」と。
説明すると。
僕がそうであるように、カメラについて技術的に素人ならば、自分が伝えたい被写体の表情や切りとりたいフレーム、深度、色合いなどが満足いくまで、とことん試行錯誤しながらシャッターを切り続けるしかないのです。そう簡単にいい写真なんて撮れるわけがないのです。素人なんだから。
素人がいい写真を撮るには、ようは撮りたい画像が撮れるまで諦めなければいいだけ。
さらに、膨大に撮った写真からいちばん良いと思う写真を選び出す作業、これも時間と労力が要る。これらの作業を厭わない愛が要るのだと思うのです。
これぞ愛!
莫大な手間と時間をかける。その根気って、ポートレートならば被写体となる人を綺麗に撮ってあげたいという愛だし、撮った写真を見せたい人への愛情だと僕は思うのです。膨大に撮った写真の中から「これだ!」と思う一枚を選ぶ作業、それは被写体になった人や写真を受け取る人たちへの「思いやり」以外の何物でもありません。
なお、シャッターチャンスが少ない、短い、被写体が動くというような撮影。数多くの均一な写真、印刷品質の写真などの撮影は素人には無理ですので、僕は引き受けません。
結論
愛がなければいい写真は、そう簡単に撮れないのが素人カメラマン。
愛がなくても、さらっといい写真が撮れちゃうのがプロカメラマン。
あ、ちがうな。
プロカメラマンは3秒で愛に目覚める人。
けれど3歩歩くと忘れちゃう人。
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