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Tomizo Jinno

映像編集の基礎知識(2)カット・アウェイ

「カット・アウェイ」とは、映像撮影と編集の技法の1つであり、目的の意図や感情を短時間で描くために、突然別の映像やシーンを挿入する手法です。 主要なシーンを中心に据えつつ、より詳細な情報や背景を説明したり、物語の要素を強調するために用いられます。いわゆる「インサート」であり、「cut away : 一時的に今の場所から別の場所へ離れる」と理解すればいいでしょう。


例えば、主人公が犯人のアリバイを尋ねるシーン

犯人のアリバイがカット・アウェイによって示されることがあります。主人公が犯人を追及する場面に続いて、被害者が犯行をしていた時間帯のシーンや、犯人のアリバイを証明するシーンが挿入されます。これにより視聴者は主人公の主観に共感しやすくなり、物語の緊張感が高まります。


ドキュメンタリー映像の解説シーン

ドキュメンタリー映像では 、複雑なテーマや歴史的な出来事を分かりやすく伝えることが求められます。例えば、歴史上の重要な瞬間を解説するシーンでカット・アウェイが使われます。ナレーションやインタビュー映像に加えて、当時の映像や写真を挿入することで、視聴者によりリアルな体験を提供します。この手法は、物語の詳細な背景や特徴を強調するために非常に効果的です。


アクション映画の戦闘シーン

主人公が強敵と対峙するシーンでは、その対話的なカット・アウェイにより、戦闘の緊張感や主人公の勇気(内面)が強調され、視聴者はより一体感を持って物語に侵入することができます。

カット・アウェイ
by Microsoft Designer

事例1: 『ゴッドファーザー』

 『ゴッドファーザー』はフランシス・フォード・ コッポラ監督によるアメリカ映画の傑作。映画の中でも特に有名な「カット・アウェイ」のシーンは、主人公であるマイケル・コルレ・オーネ(アル・パチーノ)の父であるドン・ヴィトー(マーロン・ブランド)の葬儀の場面です。マイケルは教会の内部で葬儀に参列していますが、同時に教会の外には、ヴィトーの敵対者たちがいます。これにより、視聴者はマイケルの表情の中に、ヴィトーの影響力や死の重要性を感じることができ、物語により深く没入することができます。


事例2: 『サイコ』 

アルフレッド・ヒッチコック監督による『サイコ』は、ホラージジャンルの代表作であり、映画史上においても最も有名なシーンの一つとして、マリオン・クレイン(ジャネット・リー)がシャワーを浴びている最中に、謎の人物によって襲撃されるシーンがあり、シャワーからマリオンの叫び声、そしてナイフの音とともに、彼女の表情や悲鳴がやりとりに切り替わるカット・アウェイによって、非常にリアルで恐ろしいシーンとなっています。


事例3: 『シャイニング』

スタンリー ・キューブリック監督の『シャイニング』は、ホラー映画の傑作としても知られています。 特に、主人公のジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)がホテルのバーで幽霊のバーテンダーと対話するシーンで、「カット・アウェイ」が見事に使われています。ジャックの表情や挙動と、バーテンダーの演技が対話的に切り替わり(カット・アウェイ)ながら、物語の中でのジャックの精神的な変化が強調されています。

これらの映画のシーンは、「カット・アウェイ」を巧みに活用して、物語や登場人物の感情、緊張感などをより深く伝えることに成功しています。視聴者の感情に配慮した重要な手法の1つと言えます。

これらの事例からわかるように、「カット・アウェイ」は映像撮影と編集のテクニックとして非常に効果的で幅広く活用されています。映像制作において、シーンの伝えたい要素をよりわかりやすく強調したり、物語流れをスムーズにつなげる国際的に活用される技法と言えます。


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