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Tomizo Jinno

「絵にならんなあ」という嘆き

「絵にならない」

我々のような仕事をしている者が「カメラを向ける対象が具体的に無い」、あるいはイラストやCGにしようにも、どんな輪郭を描いて、どんな色をつければ「それを表している」ことになるのか思い付けず、頭を悩ます時に使う表現です。

 

「実態がない」

たとえば「ソリューション」とか「インレグレート」という単語は、その前後の文脈にその具体的な要素、要件が書かれていないと、100人が100通りの想像をしてしまいます。

ですから、まずもってカメラを向ける実態がありません。

 

IT企業様ごめんなさい

この嘆きがよく発生するのがIT事業のみなさんのお仕事。

一般的な多くの職業の現場は、特徴ある場所、機材、服装、手技などがあり、その様子を捉えれば、その仕事の様々なプロセスを映像化できます。

 

最大の悩み

ところがIT産業の皆さんが行っている業務を表すハードウェアは、コンピュータ端末(周辺機器含む)とモニターに向かう人、通信回線(具体的には電線と接続機器の箱)周辺、あとはモニター画面に表示される文字の羅列や図表、グラフィック画像などです。

これらをどう組み合わせても、そう簡単に「ソリューション」とか「インレグレート」は表せません。できたとしても「なんとなくそんな感じ」。さらには、どのIT企業様も同じ絵になってしまいます。これが最大の悩み。

 

困った時の会議風景

列挙したような絵、構図を使い尽くすと、あとはミーティング風景や洒落たオフィスや、都市空間のなんとなくネットワークっぽい絵?みたいなことになっていきます。

イラストやCGならば、フロー図のような絵柄はよく使います。

 

充分足りる?

これだけ羅列できれば十分のような印象を持つかもしれませんが、昔のVP(企業がつくるビデオ映像。たいがいは10分から20分くらいあった)だったら、これだけでは、まず「絵が足らない」ことになります。

ですから最近のビデオ(映像、動画)は数分程度に収めることが多いのも、こういう「撮る絵がない」ことにも理由があって、モーショングラフィックやアニメなどの手法で映像化することが増えたからです。これらの手法は映像の流れ(構成?)が単調にならざるを得なくて、3分を超えると視聴離脱が避けられなくなるからです。

 

嘆き節でおわり?

嘆くばかりで恐縮ですが、この時代「映像をつくろう!」と言ってくださる企業はIT関係が多いので、我々映像制作会社の人間は、嬉しいような困ったような状況なのです。


実際のIT企業のPRビデオでよく使用される絵柄は、その企業が提供するサービスや製品、そして企業文化などを視覚的に表現するために、様々なものが活用されています。


一般的な絵柄と、それらが表す意味の一例


  • 抽象的な図形:

    • 円や三角形、波線など。

    • 革新性、成長、つながり、変化などを象徴的に表現します。

    • 例:企業ロゴに組み込まれた抽象的な図形は、その企業のアイデンティティを象徴します。


  • 技術的な要素:

    • 回路基板、コード、サーバー、クラウド、グラフなど。

    • IT企業の技術力や専門性を強調します。

    • 例:ソフトウェア開発企業のPRビデオでは、コードが高速で流れる様子を表現することで、開発スピードの速さをアピールします。


  • 人との繋がり:

    • 人々が笑顔でコミュニケーションを取っている様子、チームで協力している様子など。

    • 人材の重要性や顧客との関係性を重視していることを示します。

    • 例:コンサルティング企業のPRビデオでは、クライアントと社員が一緒に問題解決に取り組んでいる様子を映すことで、顧客との共創を強調します。


  • 都市や風景:

    • 未来都市、自然風景、オフィス空間など。

    • 企業の活動範囲や、提供するサービスが社会に与える影響などを表現します。

    • 例:グローバルに展開するIT企業のPRビデオでは、世界中の都市の風景を映し出すことで、グローバルな視点を持っていることをアピールします。


  • データや数字:

    • グラフ、チャート、数字など。

    • 企業の成長や実績、データ分析能力などを視覚的に表現します。

    • 例:データ分析企業のPRビデオでは、大量のデータが可視化される様子を映し出すことで、データ分析の重要性を強調します。


映像をつくる時によくある「絵にならんなあ」という嘆き
「絵にならんなあ」という嘆き

 

 


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