緊急停止命令
映像制作ビジネスと直接的な関係はあまりないけれど、楽天が打ち出した「一定金額以上のお買い上げで送料無料」という販売方法が、公正取引委員会から「緊急停止命令」の申し立てが行われたというニュースを見ていて思ったことがある。
理屈では「価格に転嫁すればいい」だが
この「送料無料」によって、「低価格」を差別化要因として楽天市場で販売していたひとたちが、「送料は出店者負担」の原則によって、実質的に商品に送料を転嫁せざるを得ず、価格競争力を失うこと。というのが表面的にも実情としても問題になっているのだと思う。
無神経な言葉
けれど、僕はもう少し根の深いところで、出店者のみなさん(たぶん小さな商店経営をネット販売によって、どうにか繋いできた小売店)が、楽天という巨大?IT企業の「無神経さ」に腹を立てているのではないかと、僕は思う。
出店者のみなさんは、ネットから注文があると、ひとつひとつ商品を梱包して、宛名を書いて、貼って、宅配業者が来るのを待って、セールスドライバーに託し、商品を心待ちにしているお客さんに届けている。この「物流」は出店者にとってもセールスドライバーにとっても、とても重要な仕事だと思っている。
送料無料=運ぶことは価値がないこと?
ところがこの言葉は、荷をつくり託す人、運ぶ人といった「物流」に関わる人の仕事が、まるで「ないもの」「不要なもの」「価値がないもの」のように響く言葉だ。
世間には自分の目に見えないもの、見ていないものは無いことと同じ・・・、そうしたものの見方をする人が多いのは、今に始まったことではないが、人が見ていないところで行われている仕事ほど、むしろ困難で能力も労力も必要なことは多い。
小売店のみなさんは「運ぶ」に敬意を払っている
小規模な小売店を経営している人は、自分らを含めそうした「見えないところ」で仕事している人がいることは、比較的多くの人が承知していて、共感もしている。だから、自分らが送料を負担することへの憤慨だけでなく、大手企業のこういう「価格に転嫁すればおなじことでしょう?」という「無神経さ」が許せないのではないか、そんな風にも思ったわけだ。
映像制作業界も目に見えない仕事が多い
映像制作産業は、まさに「人の目に映らない仕事」の積み重ねののちにようやく「人の目に見せる映像」を制作、納品するビジネスである。
調査して、頭の中で考え、アウトプットしながら企画をつくり、シナリオを書き、準備を進める。それら多くのプロセスが評価の対象にならない。日常的にそういう思いをしているので、こんなことを思うのかも知れない。
映像作品の価値を測る指標
視聴者への影響力
感情への訴求力: 映像が視聴者にどのような感情を呼び起こすか。感動、共感、恐怖など、感情的な揺さぶりを与えることで、記憶に残る作品となります。
行動変容: 映像を見た人が、どのような行動を起こすか。購買意欲を高める、特定のブランドへの認知度を向上させる、社会問題への関心を深めるなど、具体的な行動に繋がるかが重要です。
共感と拡散: 多くの人に共感され、SNSなどを通じて拡散されることで、作品の価値は高まります。
芸術性と独創性
表現手法: 映像表現の技法、ストーリーテリング、映像美など、芸術的な側面が評価されます。
オリジナリティ: 既存の作品との差別化、新しい表現方法の開拓など、独創性が求められます。
社会的な影響力
社会問題への貢献: 社会問題を提起し、人々の意識を変えたり、行動を促したりするような作品は、社会的な価値を持ちます。
文化への貢献: 文化の発展に寄与し、新たな価値観を生み出すような作品も、高い評価を得ます。
商業的な価値
収益: 興行収入、広告収入、商品化による収益など、経済的な価値も重要な指標の一つです。
ブランドイメージの向上: 企業のPR映像など、ブランドイメージの向上に貢献する作品は、商業的な価値が高いと評価されます。
技術的な革新性
新しい技術の導入: 新しい映像技術を導入し、表現の可能性を広げる作品は、技術的な革新性が高く評価されます。
映像制作の効率化: 制作プロセスを効率化し、コスト削減に貢献するような技術も重要です。
映像作品の価値評価の難しさ
映像作品の価値は、上記のような様々な要素が複合的に絡み合い、一概に数値化することは困難です。また、時代や文化、個人の価値観によって評価は大きく変わることがあります。
このビジネスの難しさを表しています。
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