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ナレーターを2人起用するのは贅沢!?

主観・客観


企業や商品のPRビデオの場合、宣伝する主体(主語・主観)はその企業です。だから普通に考えればナレーションは「私たち」とか「弊社では」で始まります。しかし、PRビデオでは様々なアプローチが選択されます。例えばニュース番組風の構成法であれば「いま巷では○○が話題になっています!」という客観的な視点で話題が進行します。また、客観と主観を行ったり来たりすることもよくあります。客観的な語り口は、対象の真実味を強調し、主観的なコメントは情報を補強します。こうすることで手前味噌な情報であっても客観性のある事実のようにアピールできるからです。


贅沢なキャスティング


こうした「観点」が主観と客観というような複数の映像では、ナレーターを2名以上起用することがあります。NHKの「新日本風土記」などは、進行役、情報役、詩情役の3名という贅沢なキャスティングがされています。贅沢というのは、私たちB2B映像制作会社にとってはナレーターのギャラはコストだからです。ですから、そう簡単にこうしたキャスティングはできません。ですから、主観と客観を交えたシナリオ自体、自粛することが多いです。しかし、ナレーターを複数人起用することによるメリットはたくさんあります。


視点を複眼にする


複数の視点から情報を伝えることで、視聴者の理解度を高め、記憶に残りやすい印象を与えることができます。また、異なる声色や語り口によって、視聴者の飽きを防止し、最後まで見てもらえるような構成にすることも可能です。さらに、複数のナレーターがそれぞれのキャラクターを演じることで、物語に奥行きと人間味を加え、視聴者の共感を呼ぶことも期待できます。


なぜ効果的なのか


その理由の一つは、人間の脳が複数の情報源から得た情報を統合することで、より深い理解を得たと感じる性質にあると考えられます。複数のナレーターが異なる視点から情報を提供することで、視聴者はより立体的なイメージを構築し、情報に対する信頼度を高めることができるのです。


もう一つの理由は、人間の感情が、単調な情報よりも、多様な要素が組み合わさった情報に強く反応するからです。複数のナレーターが、それぞれ異なる感情やトーンで語ることで、視聴者の感情を呼び覚まし、記憶に残るような印象的な体験を提供することができます。


注意点


各ナレーターに明確な役割とキャラクターを与えることが重要です。それぞれのナレーターが、物語の中でどのような役割を果たすのかを明確にすることで、視聴者は混乱することなく、それぞれの役割を理解することができます。


次に、複数のナレーターがいても、全体的なトーンや雰囲気が統一されていることが重要です。バラバラな印象を与えてしまうと、かえって視聴者を混乱させてしまう可能性があります。


最後に、視聴者の視点に立って、どの情報をどのナレーターが伝えるのが最も効果的かを検討することが大切です。例えば、専門的な情報は専門家であるナレーターが、感情的な訴えかけは、より人間味のある声を持つナレーターが担当するなど、それぞれのナレーターの特性を最大限に活かすような配分を心がけるべきです。


なかなか気づいてくれない


シナリオライターとしては、複数人のナレーターでのシナリオを考えることは、技巧的な挑戦として楽しいものですが、出来上がった映像のその効果については、ナレーターが複数人いることに視聴者がほとんど無意識であるため、評価が表面化しないのが残念です。映像作品としての品位(もちろん効果も)は必ず向上します、私が保証します。


ナレーターを2人起用するのは贅沢!?


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