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フェイクが生まれるところに気圧差あり

台風のはじまり


今朝の天気予報では来週、巨大な台風が日本を直撃するようです。都市部に暮らす者としては停電と断水の心配をするだけで何もできませんが。

ところで、台風は海水温が高く気圧が低いところで発生し、その発生自体が気圧を低下させる要因となり、海水温が高いところを辿り、高気圧の淵をめぐるように、さらに気圧を下げながら発達します。


フェイクが生まれるところに気圧差あり
フェイクが生まれるところに気圧差あり


プロバイダー責任制限法とメディアリテラシー


最近「プロバイダー責任制限法」が改正されたこともあり、テレビのドラマニュース番組でも、この話題で盛り上がっています。誹謗中傷記事の削除要請問題と並んでテーマにされているのが、情報の受け手としてのメディアリテラシーの問題です。

小学校でのメディアリテラシー教育や非営利団体による啓発活動が盛んになってきたことは喜ばしいことだと思いますが、今の時代、見た目では真贋がわからないフェイクが当たり前になっています。少年期の子供に対するメディアリテラシー教育で可能なことは、技術面に関することが精一杯でしょう。「そういうことがある」という理解だけでも持って欲しいものです。


人間関係のはじまり


人対人、人対組織、組織対組織、組織の中の人対組織の中の人、etc…という関係性には、必ず上下関係や心理的葛藤があります。メディアリテラシーを考える時、この関係性を知ることで、そこで発信される情報のバイアス性向を理解(想像)することができます。


男と女、サラリーマンと開業医、日本人とアメリカ人、子供と老人・・・こうした人の間には「人間関係」があります。人ぞれぞれではありますが、例えば男女であれば男性が封建的であるとか、サラリーマンと開業医であれば、開業医の方が稼いでいる、というような「先入観」を持っています。この先入観は、それを感じる人がそれまでの人生経験で培ってきた「印象」です。


例えば部品メーカーと自動車メーカーという組織対組織関係であれば、二つの組織に属する人にはそれぞれ、主従意識や敬意、侮蔑意識があるでしょう。そうした関係性の解釈は、客観的な立場の人にも同様にあり、その組織業界についての知識が深いか浅いかによって解釈は違うでしょう。しかし強弱はあるにせよ、そうした性向は必ず持っています。


気圧差がフェイクを育てる


さらに人間関係、組織関係の間には、先入観とは言えない、本質的な意味での主従関係や犬猿関係と言った、それぞれの立場の違いによる「気圧差」が必ずあります。その気圧差が大きければ大きいほど、それぞれの立場から相手の立場に向かう感情の風圧があがり、その圧力があるレベルを超えた時、そこに憎悪(フェイク)を創造する熱量が生じ、それは同調者を集め発達しながら移動を始めます。それはまさに台風に似た振る舞いです。


つまり、台風を見つける=フェイクを見分ける力とは、社会にある無数の人間関係、組織関係、社会関係の間にある「感情の気圧差」をどれだけ知っているか、気づくことができるかということだと私は思います。


人間関係の天気図を描く


それぞれの立場の人の感情、それぞれの組織の属している人の感情、客観的な立場から見た感情もみな、言ってみれば相手に対する先入観から始まっています。先入観は捉える人の成長によってより変化していくはずです。教育、社会経験によって上塗りされた情報によってアップデートされ、より事実に近づいていくのが普通です。それが大人になる、成熟する、ということではないでしょうか。

人間関係の天気図を描いて、そこで発生しそうな軋轢に気づく。互いの立場を想像する力を持っていることが、大人の条件だと思います。

結論的に言えば、メディアリテラシーを身につける、育てるということは、社会のひとりひとりが成熟して大人になることを目指すことだと、私は思います。


ある意味で映像制作もこの先入観を前提にして視聴者を納得させようという試みです。原則的には成熟した大人を前提としていますが、ターゲットによっては表現に少しバイアスを掛けることはあります。しかし、いつも結論は公正であることを意識しています。

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