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ボケ+移動=シネルック=カッコイイのリテラシーが変容

DSLRはどこへ

最近はDSLR=digital single-lens reflex cameraという呼び名が廃れました。ミラーレスカメラの画像品質がDSLRのそれに肉薄してきて、使い勝手や機材費用で優位になりつつあるからだと思います。さて、猫も杓子も(というのは嘘。根っからの映像業界人は斜に構えてみていた)DSLRのシネルックな画質が「カッコイイ」「本当に美しい」と持てはやし、そういう映像を撮り作品にしてきましたが・・・。


ミラーレスの台頭

ところがDSLRという呼び名が使えなくなってきたのと同時に、このシネルック=カッコイイという評価も手放しで言い切れない状況を感じます。併せて、ジンバルやスライダーによる移動ショットも「カメラが動いていればいいというもんじゃないでしょ?」という世間の雰囲気感を僕は感じています。


シネルック映像はマイナー感がある

あるクライアントに「こういう映像(画質や撮り方)は、マイナーな感じがするのでやめてほしい」と言われたことが、その兆候を知るきっかけでした。こういう映像とはシネルックな映像のことでした。つまり、B2B映像分野においてシネルックでカッコイイ映像を世に送り出している企業(クライアント)、制作プロダクションの大半が中小企業だから、メジャーな大企業がそれと同じことをすると、マイナーな企業と勘違いされる・・・ということだったのです。


画像品位はメディアリテラシー情報

長い歴史を伝えようとする時に、写真をセピア色にしたり、フォルム傷のような効果を加えたりするのは、画像品位によるリテラシー操作の典型です。DSLR映像翻ってシネルック映像=非メジャーという印象をもつ人が、潜在的に増えたのかも知れません。「潜在的」というところが味噌で、本人はそう考えているつもりはないのに、なんとなく印象に影響を与えているかも知れないのです。


大企業、メジャー企業を気取りたければビデオカメラ?

シネルック映像制作に多用されるスチール(写真)カメラ撮影ですが、このカメラで動画を撮影するには、従来のビデオ専用カメラとは異なる様々な制約があります。中でもよりボケ効果を出すために使用される単焦点レンズは、被写体との距離や画角によってレンズ交換しなくてはならず、しかもフォーカスやF値もシビアな調整が必要です。従ってシューティングチャンスを逃すことも多く、シナリオ、香盤表に沿って、多くのショットを計画的に撮影していくビジネス映像制作においては、かなりやっかいな問題です。ビデオカメラなら取り回しがよく、狙った映像を確実に収録できる可能性が高くなります。


ビジネス映像制作という仕事

あらかじめどういう映像作品を作り上げるのか、細部に渡って合意をとりつけてから撮影、制作に入るのがビジネス映像制作という仕事ですので、前半で書いたように従来からこの業界に身を置く映像屋は「デジ1最高!」とは言わないのです。ビデオカメラでなければできない仕事もたくさんあるからです。

シネルック=カッコイイ?
ボケ+移動=シネルック=カッコイイのリテラシーが変容

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