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後戻りできない映像制作

できませんは言いたくない

ビジネス映像の制作工程では、例えば編集までに揃わない撮影素材を編集することはできませんし、録音ではナレータが帰ってしまったあとに、原稿を直すことはできません。でも「もう直せません」「できません」という言葉をお客さんにお伝えするのは、映像制作マンとしてはちょっと不名誉なことです。初めてのお客様には「これ以降は、これについては修正が効きません」ということをご説明しながら制作進行しますが、できれば「できません」という言葉は使いたくないものです。お客さん自身で映像制作工程について理解されるくらいに、一心同体で進行する環境を整備するのも制作会社の仕事です。


企画段階

シナリオづくりは映像の設計図づくりなので、のちに設計図に書いてないことを要望された時に「シナリオにありません」と示す根拠になるものです。シナリオを第1稿、第2稿と稿を進めるコミュニケーションをお客様としながら、何か漏れていることがないかということは互いに念を入れます。けれども、どんな仕事でも後になって「あれを忘れていた!」ということはあります。シナリオの変更については実はよくあることで、原則的にですが、ナレーションの文言の変更は編集までOKです。ただしシナリオにない項目は撮影しませんので、撮影に関わることは撮影開始、ないしは撮影中までしか変更は効きません。


撮影の現場

用意して無いものを撮ることはできませんので、社内の撮影先には必ず根回しをお願いします。インタビューを予定していた社員の方が、今日は休みだった・・・という笑えない事件も発生しています。後日撮影ということになると追加コストが発生します。制作側もお客さんに「あれはいいの?」と言われないよう、香盤表などで事前に撮影内容を共有し、漏れがないようにします。気の利いた制作進行、アシスタントディレクターなら、シナリオから予想して、シナリオに書いてなくても必要になりそうなもは、こっそり持ってきて「ありますよ!」というのが理想的ですね。


録音の現場

軽微なものを除き、ナレーション原稿の修正をスタジオに入ってから行うのはルール違反になります。原稿の確認は、お客さんと必ず前日までに終えておきます。そして、理想的には数日前までにナレータに送っておきます。ナレータは事前に読んで、原稿の不備などをチェックしてくれます。

スタジオは時間貸しですので、その場でアレコレやっていると、料金がどんどんカウントされてしまいます。スタジオに入る前に、喫茶店や待合室でナレータ、お客さん、ディレクターで「読み合わせ」を行い、漢字の読み方、業界慣習としての発音の仕方なども必ず確認しておきます。

音楽も前日までに映像に合わせて試写をしておくのが得策です。映像用のナレーションを録音する「MAスタジオ」では、ナレーション録音後、音楽や効果音のミックス作業を行いますのが、ここで「この音楽換えて」と言われると、その場で新たな曲を探して差し込まなくてはなりません。音源が無いスタジオだと、MAは後日、もういちど行うことにになり、お客さんには納期の迷惑をかけ、我々はコストを増やすことになります。


完成後

映像に音声がつき、録音にお立ち合いいただいていたお客様が「OKです」と言われたら、一応の完成となりますが、近年ではその場で納品OKということにはならず、「社に持ち帰って、上司や関係部署に確認します」ということが多くなりました。

最近は録音後の修正依頼が多くなりました。以前は「技術的にできません」とお断りするか、別途予算と時間をいただいて行っていた作業が、今では難なくできることがわかってきたからですね。しかし、中には深く埋めた土台を掘り返すような大工事になる修正作業もあります。ご担当の方は、他部署からの修正依頼を軽く考えると「それは無理です」という作業もありますので、必ず制作会社に確認してから請け合ってください。

後戻りできない映像制作
不可逆ポイントが多いのが映像制作プロセス

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