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動画は万能ではない

「動画は情報量が多い」


とよく言われます。テキストデータならメガビットも行かない情報量を伝えるために、動画ファイルでは秒間30とか24枚の画像が何分も続くから当然データ量(ビット数)が莫大になります。これに音声データも加わるから尚更です。

しかし、ファイルのビット数が大きいからと言って、人が受け取る情報量も応分に多いかと言えば、必ずしもそうではありません。漠然と試聴すれば記憶に残る情報は少なく、細大漏らさず視聴すればその分、多くなります。

例えて言うなら洪水を浴びても、その水を全部飲み込むことはできないし、ちょろちょろ流れ出る水を大きく口を開けて飲めば、十分な潤いが得られます。ただ情報の洪水ですから、視聴者を「なんだかすごい」と圧倒することはできるかも知れません。私は大きく口を開けて飲んで、その味も楽しんでもらいたい、そんな映像づくりを目指しています。


ところで、私たち映像制作会社に持ち込まれる案件相談の中には、映像・動画という表現媒体に適さないと思えるテーマや目的、素材があります。動画は視聴者が見始めれば嫌でも一方的に情報の洪水に見舞われます。その洪水が快くなければ再生を止めるか、意識を他に向けてしまいます。制作者のメッセージがやってきては消えていく連続に、視聴者は理解がついていけず、情報は漏れ続けます。

そうした「一方的で消えていくメッセージ」は、視聴者の感情を揺さぶることは得意ですが、そこに現れた情報を漏れなく把握するには無理があります。こういう場合、お客様には「これは紙媒体の方がよくありませんか?」と私たちは正直にお勧めしています。



紙媒体の「一覧性」について

動画は万能ではない
動画は万能ではない

紙媒体の「一覧性」は、情報伝達において非常に重要な要素です。動画が動的な視覚と聴覚で情報を伝えるのに対し、紙媒体は静的な視覚で情報を整理し、全体像を把握しやすくする特徴があります。



紙媒体の一覧性のメリット


情報の全体把握

ページ全体を一度に見渡せるため、情報全体の構造や関係性を把握しやすい。

目次や索引を活用することで、必要な情報に素早くアクセスできる。


詳細な情報の提示

表やグラフ、図などを用いて、数値データや複雑な概念を視覚的に表現し、理解を深めることができる。


非線形な情報処理

興味のある部分から読み進めるなど、自由に情報を選択し、深掘りできる。

動画のように最初から最後まで順番に視聴する必要がないため、読者のペースに合わせて情報を吸収できる。


保存性と携帯性:

紙媒体は、デジタルデータと比較して保存性が高く、いつでもどこでも持ち運んで参照できる。


触覚的な体験

紙の質感や印刷の質感を味わうことで、情報への没入感を高め、記憶に残りやすい。



紙媒体の一覧性を高めるための工夫


レイアウト設計

情報の重要度や関連性に応じて、適切な大きさや位置に配置する。

余白を効果的に活用し、視覚的な整理を行う。

タイトルや見出しを大きく、目立つようにする。


視覚要素の活用

図、グラフ、イラストなどを用いて、複雑な情報を分かりやすく視覚化する。

色やフォントを使い分け、情報を分類し、視覚的なメリハリをつける。


情報構造の設計

目次や索引を設け、情報へのアクセス性を高める。

情報を階層的に整理し、全体構造を明確にする。


紙の種類や印刷方法の選択

情報の内容やターゲット層に合わせて、最適な紙の種類や印刷方法を選択する。

高品質な印刷は、情報の信頼性を高め、ブランドイメージ向上に貢献する。



紙媒体の一覧性の活用例


書籍

目次、索引、章立てなど、情報構造が明確で、必要な情報に素早くアクセスできる。


カタログ

商品一覧やスペック表などを一覧化し、比較検討しやすい。


マニュアル

図解や手順を分かりやすく示し、操作方法を効率的に習得できる。


ポスター

簡潔な言葉と視覚的な要素で、情報を効果的に伝達する。



紙媒体の一覧性の課題と解決策


情報量が多い場合

章立てや見出しを細かく設定し、情報を整理する。

インデックスやタブを活用し、必要な情報に素早くアクセスできるようにする。


デザインが複雑すぎる場合

シンプルなデザインを心がけ、視覚的なノイズを減らす。

情報の優先順位を明確にし、重要な情報だけを目立たせる。


紙媒体の廃棄問題

リサイクル可能な素材を使用する。

電子書籍との併用を検討する。



まとめ


紙媒体の一覧性は、情報伝達において非常に重要な要素です。適切なレイアウト設計や視覚要素の活用、情報構造の設計を行うことで、読者はよりスムーズに情報を理解し、記憶することができます。

紙媒体の一覧性は、デジタル時代においても、その価値を失っていません。 紙媒体ならではの触覚的な体験や、非線形な情報処理の特性は、デジタル媒体では得られない魅力です。

紙媒体とデジタル媒体を効果的に組み合わせることで、より豊かな情報体験を提供することが可能になります。

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