現在の映像制作スタイルでは、撮影現場にはカメラマンが操作するカメラ以外にも、ディレクターやアシスタントディレクターが傍で操作するサブカメラや、タレント自身が身につけて撮影する小型アクションカメラなど、編集ソースが爆発的に増大していて、実際の編集作業の時にショットをセレクトする作業に膨大な時間が必要です。
カメラマン第一主義
私はこうした事態に対処するため、収録データをプレビューするのはカメラマンが持っていたメインカメラの映像を主軸にして、サブカメラはそのメインカメラの映像で捉えきれていない、表現できない部分だけを求めて探すようにしています。
全てのカメラのタイムコードをFree Runにしおくことで、必要なカットの探索は容易です。
自分自身やADが操作したカメラはの画像は、あくまでサブと考えて、主軸の編集のアテにはしません。これはカメラマンへの敬意でもありますが、責任を背負ってカメラを回しているカメラマンの仕事を信頼しているからです。
私のこの方針には他の理由もあります
映像コンテンツ全体の軸となるタイムラインをバラバラのカメラの映像で繋ぐのは、映像品質が低下するように思うからです。映像品質というのは漠然としていますが、画像品質や色調、カメラワークなどの一貫性というような意味です。サブカメラは所詮サブなのでメインカメラとはすべての面で品位が違います。それらが混然となると、全体の品位は低きに落ちるように感じるからです。
サブカメラ映像はあくまでインサート
私はそう考えています。メインカメラでも捉えているショットであっても、サブカメラで撮っていた角度や画角の方が「断然いい」という時だけ使用します。
メインカメラから使用するショットを探す方法
私のルールは First come, first served としています。
テイクを繰り返したショットの場合には、順番にみていって、OKと感じた最初のショットを採用するのです。その後にも幾つかテイクしているデータがあってもプレビューしません。これは撮影現場でのカメラマンの様子を思い出せば、その場所でどのような撮影をしようとしていたか、おおよそ見当がついているで、そのイメージ通りのテイクが見つかれば、それがOKテイクだと考えられるからです。
サブカメラからショットを探す場合
私の場合、これも撮影現場を思い出して、自分を含めサブカメラがどんな位置にいたかを考え、効果的なショットを撮っている可能性を感じた場合、サブカメラを順番に見ていきます。ただし、離れた場所で回していたサブカメラは何を狙っていたかわかりませんので、これは該当時間を全部見ていくしか仕方がありません。しかし、サブカメラを回していたスタッフは大概得意げに「いい画が撮れてますよ」と申告してくるので、まずそのショット探すことが多いです。
First impression優先
そして、前後のシーンがある程度繋がった段階で、その一連を見直します。
そこで「?」というショットがあったら、それに代わるテイクがないかメインカメラから探します。メインカメラで見つからなければサブカメラから探します。
また、そうして差し替えてみて再度、繋がりをチェック。
そして再度?と思った場合は、最初に採用したショットに戻します。
私はこれをFirst impressionの法則と呼んでいます。
経験的みて、迷った時はファーストインプレッションが一番正解だからです。
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