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動画作家と映像作家

「動画作家」について

ネット上だけでなく一般世間的にも「動画の時代」と言われ、一家に一台どころか、一人に一台、いえいえ、ひとりで何台も動画収録可能なツールを持っているのがあたりまえです。

 高性能なデジタル一眼レフカメラを持っていなくても、iPhoneのボタンを押しただけで、一昔前のこの業界人がみたら驚愕の美しい映像が撮れてしまいます。フルハイビジョンどころか、4Kでも撮れてしまうスマホを、普通の人があたりまえに持ち歩いています。

 プロ用でも通常、4K解像度は普及型の機器としては上限解像度。では巷のカメラマニアやビデオグラファーは、いったい何を競って高度で最新の機材を求めるのか・・・。

 

撮りたいものを撮れるカメラ

見たことない視点の空撮が撮りたい、ボケみを出したい、揺れない移動ショットとりたい、ハイスピードで撮ってスローで見せたい、タイムラプスで景色の変化をダイナミックに見せたいetc…こうした要求を満たすための機材が雨後の筍のように出回り、今時のビデオカメラマンはまるでコレクターのように機材に投資をしているようです。

そうした機材で撮れば、たしかに「見たことのない」あるいは「映画みたいな」とか「CMみたいな」映像が撮れてしまうこともたしかです。「・・・のような映像が撮れてしまう」ことが嬉しいことは理解できますが・・・。

 

機材で買える映像品質とは

ところで、映像の美しさを決める要素は解像度だけでなく、レンズの明るさや受像素子の性能、信号処理技術などに依存するので、ある程度はお金に比例して美しさを追求できるようにはなってはいます。

あるいは、スタビライザーやスライダーなどの、移動ショットをアシストする機材(特機)も性能、信頼性がお金に比例もします。

 

美しい映像を撮る決め手

でも、実は画像の美しさを決めるもっとも大きな要素は、美しい被写体を美しい場所で撮ることに尽きます。あるいは演出家は流れの中で対比させることで印象付けたりもします。美しさだけでなく、例えば侘びや寂についても、それをよりよく表している空間で捉え、それを伝える構成、演出が重要です。

簡単に言えば、美しさや、その空間の質を見極め、それをどう切り取ったら、視聴者に感銘を与えられるかを知っていることが、カメラマンにとって一番重要な能力。さらにそれを視聴者へのメッセージに替えるのが演出家の仕事。

それを表現できる機材であることは最低限必要ですが、ギミックな撮影を可能にする機材を使うかどうかは、その次の段階です。

 

カッコイイ映像は慣れる、飽きる

ギミック、物珍しい見せ方、つまり「かっこよさ」を追求できるのが特機。

でも「カッコイイ」は実はすぐに飽きがきます。

珍しい視点は人の目を惹きますが、慣れればなんてことありません。

 また、それを考えるのは仕事の範囲としては演出家のテリトリー。

昨今カメラと演出を兼ねていることも多いですが、自分の中のカメラ技術屋さんの職務が演出としての職務に優先してしまうのは、いかがなものでしょう。

 

演出あってのカメラ技術

美しい、カッコイイ映像が撮れて、音楽に乗せてタイムラインに並べて、ネットにアップするだけでなく、そこから意味やメッセージ、時にはストーリーを生み出すことが、映像作品の目じゃないかと思うのです。

だから、美しい映像(プロとして破綻のない画像)であることは最低限クリアしてなくてはいけないけれど、それと同時に重要なことは、「伝えたいことを捉えて、編集することで意味を生み出す技能」ではないのかと。

企画して、構成を工夫して、その設計図に沿って撮って、編集したら、意図通りの映像ができる。それがプロの映像屋の仕事。

動画屋さんもぜひそうしてほしいのですが、「意味」とか「メッセージ」とか、「ストーリー」なんてうざったいですか?

動画作家と映像作家
カメラに拘るよりも肝心なことに目を向けよう

 

 

 


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