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撮影時のカメラマンとディレクター

カメラマンとディレクターの役割分担


映像の撮影現場で、カメラマンとディレクターの役割分担がどうなっているか想像がつくでしょうか。ディレクターの多くは、下見が十分されていて予め撮影現場の状況が把握できたり、CMのようにセットで作りこんだりする撮影の場合は、カット割りを考え絵コンテをつくって現場に臨みますが、セミドキュメンタリーのような、どんな絵が撮れるか予めわからない時は、大雑把なシーンのイメージだけもって、ぶっつけ本番で現場に入ります。

 


ディレクターには大別して2つのタイプ


こうした撮影現場でのディレクターには大別して2つのタイプがあります。カメラマンにいちいちレンズで切り取る対象とフレーム(構図)を指示して、カメラ位置も指定して、カット割りをカメラマンに伝えるタイプと、そこで収録したい映像の意図だけ伝え、カット割りもカメラマンにお任せにしてしまうタイプです。

 


いちいちフレームを指定するタイプのディレクター


収録しながら編集時のことが既に脳裏に描かれていて、必要な画像を漏らさず撮影しておかないと気が済みません。こうしたタイプのディレクターの場合、カメラマンは指示どおり撮り上げていけばいいので気楽。でも、その気楽にあぐらをかいていると、ディレクターはそのカメラマンを「使えない奴」と判断します。経験豊かなプロカメラマンならば、すぐにディレクターの意図や癖を見抜いて、シナリオを読み、先回りして画角を決めていくようになり、現場はとてもスムーズに進行するからです。

 


カメラマン放任のディレクター


シナリオを説明したらあとは大雑把に必要なカットを指示して、自分はほかに何かおもしろいネタが落ちてないか、現場をふらふらしながら、カメラマンの動きをやレンズの方向を横目で見ています。長年コンビを組んでいる場合はこうしたパターンも多く、互いの習性も意図もお見通しで現場も和やかです。しかし、初めて組むような相手とこのパターンで撮影に臨むと悲劇がたくさん生れます。

ディレクターがいざ編集に臨もうとプレビューをしてびっくり!「絵が無い!」という叫びを、私たちはどれだけ耳にしてきたことでしょう。でも、このタイプの悲劇は自業自得。ディレクターは作品を完成させるための映像の収録には責任を負っているし、カメラマンの責任はディレクターやシナリオの意図を把握して使える絵を確実に撮影すること。カメラマンを放任するには、ディレクターはカメラマンの技量をきちんと見極めてからにしないといけません。

 


良い制作現場には適度な緊張が


ディレクターとカメラマンだけでなく、スタッフの誰かが「楽をしている」ということ無く、和やかに見えても絶えずスタッフ間にピリピリとした緊張が張り巡らされているのが、良い制作現場だと私は思っています。

撮影時のカメラマンとディレクター
撮影時のカメラマンとディレクター

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