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Tomizo Jinno

映像作品とナレーション

「作品」と書くと、なんだか偉そうな映像をつくっているように思われるかも知れないが、つくる者としては日常の仕事のひとつにすぎなくても、気持ちも行為も「作品をつくっている」という感覚に嘘はないので、お許しください。

発注をくださったクライアントにとっても、僕らつくる側の人間が「作品をつくっている」という熱意で仕事に取り組むことに不快感はないと思うのだけど、もしかしたら「うざったいやつ」と思っていたのなら、ごめんなさい。

あ、今日はそういう話ではなく、映像の中でナレーションを読んでくれるナレーターについて。


「沁みる夜汽車」

さきほどまでNHKのBS1で「沁みる夜汽車」という番組を視ていたのだけれど、「上手いなあこのナレーター」と思ったら、やっぱり、森田美由紀アナウンサーだった。

すごく良い番組でしたので、是非みなさんご覧になってください。


上手いナレーターとはどういうことか?

この番組のタイトルの通りだと僕は思っている。「沁みいる」ことができるナレーションを読んでくれるナレーターが、上手いナレーターだ。

流暢に読むナレーターはいくらでも居るし、味のある声で喋るタレントもたくさんいる。でも「上手いナレーター」は、そう多くはない。

上手いナレーターは、なんと言ってもその作品のシナリオ、演出の意図を100%理解してくれる。僕らシナリオを書き、演出をしている人間にとっては、このことはいちばん重要な要件。下手なナレーターは、文脈をまったく理解せずに平気で読むので腹が立つこと夥しい。上手いナレーターとは、さらには作品の意図表現を120%まで引き上げてくれる人のことだ。シナリオライターも演出家も思い至ってなかったことまで気づいて、それを表現に加えてくれるのだ。


「未成熟」がどうして好まれるのか?

昨今は、テレビゲームやアニメーションのキャラクターのような声で喋るナレーターが好まれる傾向があるけれど、たぶんみながアニメやゲームで馴染んだ声なんだろうと思う。少々この状況を僕は憂いている。「成熟していないものを好む」傾向はナレーションに限ったことではないけれど、僕はやはり成熟した大人が好きだ。

味のあるナレーター

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