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映像制作を外注する時に考えておきたいこと

私たち映像プロダクションが映像コンテンツの企画・制作を請け負う多くの場合、クライアントに制作見積書をご提示します。クライアントはその見積書を他のプロダクションの見積書や社内の予算と照らし合わせて、発注の可否、発注先を選択します。ただし、私たちが見積書を作成するには制作する映像の企画内容や仕様情報が必要になるため、本来、映像の仕様を規定する企画構成案、シナリオが必要です。しかし、そこまでの手続きを踏む時間がない場合、少なくとも撮影日数や内容、CGの有無、映像の尺などを想定することで暫定的な見積書が作成可能です。こうしたとき、私たちはクライアントにいくつかの質問をします。この記事では、私たちに映像制作の見積書を求める時に、考えておいていただきたい事項を、優先順位順にご説明します。

映像制作を外注する時に考えておきたいこと

①ターゲット

私たちのクライアントのビジネスは、大きく分けてBtoCとBtoBの2種類です。映像コンテンツをつくる目的が、一般消費者を対象にするのか、事業者を対象にするのかによって、適切なコンテンツの企画は大きく異なります。また一般消費者の中でも性別や年齢、職業、趣味嗜好を絞るのか、大きく全般を対象にするのかによっても適切な企画は変わってきます。BtoBも同様に(to)Bを販売先とするのか利害関係者を広く捉えるかによって適切な企画は変わってきます。

BtoCとBtoBいずれの場合も、ターゲットのプロフィールをより細かく設定すれば、より効率が良い企画内容の策定が可能です。逆にプロフィールを広く設定すると、より平易な表現が求められ、媒体費用が嵩み、効率的な運用機会は減少します。BtoCとBtoBでは、ディレクターやカメラマン、エディターなどのクリエーターの適正が異なり、ギャランティも異なります。さらに、このあと説明する事項(媒体や映像尺、予算)にも影響が出てきます。


②テーマ(題材)

企業(自体)、製品、サービス、人事、技術、など映像にする主題が何であるか。


③目的

会社案内(認知・IR等)、ブランディング、販売促進、リクルーティング、マニュアル、プレゼンテーションなどテーマをどうしたいか。


私たちBtoB企業系映像コンテンツ制作プロデューサーは①-③を伺うと、経験からすでにある程度の予算規模をイメージしています。BtoC系の映像は企画の幅、演出によるコストの差異が大きく、プロデューサーによって想定する予算が大きく違います。

その幅を狭めていく質問が④-⑦です。

これらは、もしかすると①-③の条件から考えると、クライアントが「正しく」想定されているかどうかは、わかりません。けれども、そのプロジェクトに関する社内の位置付けや、担当者の方の考え方がわかるので伺います。案件受注時は軌道修正をご提案するかも知れません。


④媒体

テレビ放送、動画共有サイト、自社WEBサイト、DVD等による送付、展示会、説明会等の会場上映、等、想定している媒体があるか。


⑤時間

映像コンテンツの尺を想定しているか。


⑥予算

想定している予算はあるか。


⑦条件

撮影対象、撮影場所、撮影日数、CG・アニメ制作など、予想できることはあるか。



「④媒体」と「⑤時間」は相関関係があり

一般的により一般視聴者の視聴機会が多い媒体ほど、時間(尺)は短い方が良いと言われています。目的意識を持った視聴者が集まる説明会などでは、少々長い映像でも、情報がしっかり盛り込まれている方が効果的です。短尺、長尺を比較すれば、やはり長尺の方が予算が必要です。ただし、短尺の場合は、よりインパクトがある表現が求められるため、プランニングや出演者に費用が必要になるかも知れません。

なお①-③を伺い、短尺での映像化が難しい場合もありますし、長尺が相応しくない媒体もあります。そうした場合は、2通りの見積書を作成するなどして、どちらにも対応できるよう対策することもあります。


「⑥予算」を伺うと

その会社におけるプロジェクトの位置付けや熱意がわかるため、制作途上におけるロスや効率が予想できます。また、プロジェクト内容の割に予算が少ない場合は、その価値観の相違が思わぬ齟齬を生むリスクもありますので、企画の軌道修正や予算の増額などの手続き行う余地があるかどうかを測らなくてはなりません。この場合も低予算、通常予算2通りの見積書を作成するなどして、どちらにも対応できるよう対策することもあります。


「⑦条件」は

ある程度経験がある担当者の方は提示されることも多く、見積書を原則的にその条件に沿って作成します。


これら①-⑦は、あくまで案件スタート時、初回見積書をご提案するときにお伺いしたいことです。先にも書きましたが、ターゲット、目的、テーマ、ご予算によっては軌道修正をすべき点も含まれている可能性があります。そこで条件設定を替えた複数案の見積書を提案することで、より適切な企画案でクライアントにとってより良い結果が得られるよう水先案内することも、映像制作プロダクションの仕事だと私は考えています。

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