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Tomizo Jinno

映像制作マンが使う「画角」と「フレーム」と「構図」の違い

映像制作に関する論議をすると、カメラマンやディレクターが「画角」とか「フレーム」とか「構図」という言葉を使うことがあります。説明するまでもなくカメラで撮す「映像の切り取り方」について話題にしているだろうことは、業界外の方でもわかると思います。しかし、映像業界の人たちがこの三つの用語を正確に使い分けているとは限りません。この私も、相手は文脈から理解できるだろうと、適当に使っていることがあります。最近、このサイトに「動画・映像制作用語」というページを書いているので、いい加減なことは書けないと思い、少し調べると自分が思っていた意味や用法が、必ずしも一般的でない、時には正確ではないことに気づきます。

そこで今回は、表題の三つの用語を考察してみます。


「画角」と「フレーム」と「構図」の違い

画角の意味


画角とは、カメラレンズや人間の目が捉えることのできる範囲を角度で表したものです。簡単に言えば、「どれくらいの広さを写せるか」を示す指標です。画角はレンズの焦点距離によって変化します。画角はカメラとレンズの性能によって決まる客観的な要素であり、撮影者の意図とは関係なく決まります。


TAMRON社のH.P.によれば「画角とは、カメラで撮影した際に写真に写る範囲を角度で表したものです。一眼カメラ用レンズの仕様ではカメラに写る長方形の対角線の角度で表されることが多く、画角が広ければ写真に写る範囲が広くなります」とあります。

この「長方形の対角線の角度」ということが案外見落とされるポイントです。

なお、切り取られる範囲(次の「フレーム」を参照)は被写体との距離によって変化しますので、距離を変えられない時はレンズを交換したり、ズームリングを回すことで画角を調整することになります。レンズ(画角)を替えたくないときは、カメラ位置を変えて距離を調整します。



フレームの意味


フレームとは、画面の枠、つまり写真や映像、絵画などの作品の境界線のことです。日本語では「額縁」やと訳されることもあります。フレームは、作品の中に何を含めるか、何を切り取るかを決定する役割を果たします。

フレームは単なる境界線ではなく、例えば、被写体をフレームの中央に配置することで安定感やバランスを生み出し、逆に端に配置することで動きや緊張感を表現することができます。また、フレーム内に複数の要素を配置することで、それらの関係性や物語性を表現することも可能です。

「フレーミング」という言葉は、このフレームを使って構図を決定する行為を指します。

また、デジタル動画ファイルは、1秒間は何枚かの画像にわけられていて、それらを連続して再生することで動く映像を表現していますが、この1枚の画像の単位を1フレームとも言います。



構図の意味


構図とはフレーム内に要素を配置した、視覚的なバランスのことです。フレーム内の被写体の配置、光と影のバランス、色使い、線の流れなど、様々な要素を考慮して、意図的に画面に構成されたものが構図です。構図は、作品の主題を強調したり、見る人の視線を誘導したり、特定の感情や雰囲気を作り出したりする役割を果たします。

構図は撮影者の意図が反映される主観的な要素であり、同じ被写体でも構図を変えることで全く異なる表現が可能になります。



使い分け方


「画角」はカメラの性能、「フレーム」は画面の物理的な境界、「構図」は撮影者の意図による画面の構成です。

「広角レンズを使って風景を広い画角に収め、手前の岩をフレームに取り込み、奥の山を三分割法の交点に配置することで構図を決定しする」というように使います。


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