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動画・映像制作用語

【インターレース】

I

interlace

「インターレース」方式とは、アナログテレビ放送の時代に考案された技術で、限られた伝送帯域幅の中で効率的に映像情報を送るために、1つのフレームを奇数行と偶数行の2つのフィールドに分割し、交互に表示する技術です。

フィルム映画では24コマ/秒が採用されていましたが、テレビ放送では人間の目はこれより少し多い30コマ/秒が最適と判断されました。しかし当時の技術では秒間30コマを電波で伝送することができなかったことから、この方式が考案されました。人間の目の錯覚を利用して滑らかな動画に見せる技術です。


1. 仕組み


北米や日本などで使用されていたアナログカラーテレビ放送方式の規格“NTSC”では、秒間コマ数(フレームレート)を29.97fpsと定め、さらに1フレームを2つの“フィールド”に分割しました。

1フレームは横方向の“走査線”525本で描画されるものでしたが、この走査線を奇数行、偶数行で分けたのがフィールドでした。そして奇数行・偶数行のフィールドを交互に約30回連続することで1秒の映像ができあがりました。飛び越し走査方式とも呼ばれます。

秒間にすると約60フィールド/秒になりますから、現在の技術で言うと“60i”ということになります。



2. インターレース方式のメリット


限られた伝送帯域幅でも高フレームレートの映像を送信できる点です。当時の技術では、1フレーム全体の情報を一度に送信することが困難であったため、フィールドを分割して交互に送信することで、効率的に映像情報を伝送していました。



3. インターレース方式のデメリット


フィールドを分割して表示するため、動きの速い映像では「ちらつき」や「櫛状のノイズ」が発生することがあります。また、静止画として切り出した場合には、動きのある被写体の輪郭が二重に見えることがあります。



4. 60iの1フィールドと30pの1フレームどちらが高精細?


高速な情報処理、伝送ができるようになり“プログレッシブ方式”が主流になった現在でも、インターレース方式が生きているのは何故でしょうか?


▶︎基本的な違い


60i(インターレース)

1秒間に60フィールドを表示します。
1つのフレームを奇数行と偶数行の2つのフィールドに分割して表示します。
1フィールドはフレームの半分の情報しか含みません。

30p(プログレッシブ)

1秒間に30フレームを表示します。
1フレームはすべての行の情報を同時に含みます。


▶︎高精細さの比較


静止画の場合

30pの1フレームは、60iの2フィールドを組み合わせたものと同等の情報量を持ちますが、60iの連続する2フィールドは時間差があるために厳密には異なる画像であるため、静止画としての精細さは30pの方が高くなります。

動画の場合

60iは1秒間に60回の画面更新を行うため、動きの速い映像は滑らかに表示されます。伝送効率が求められるリアルタイムの映像伝送に適しており、スポーツ中継やライブイベントなどの高速な動きを含む映像の撮影・配信に用いられます。しかし、インターレース方式特有の「ちらつき」や「櫛状のノイズ」が発生する場合があります。
30pは、1秒間に30回の画面更新ですが、1フレームにすべての情報が含まれているため、動きの少ない映像はクリアに表示されます。動きの激しい映像では、残像感を感じる場合があります。

結論

静止画としての精細さを重視する場合は、30pの方が有利です。

動きの滑らかさを重視する場合は、60iの方が有利な場合があります。

また、解像度やビットレートなどの要素も画質に影響を与えるため、一概にどちらが高精細とは言えません。どちらが高精細かは、映像の内容や用途によって異なります。

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ブログカテゴリー「映像制作技術」

インターレース

​【関連用語】

1. プログレッシブ (Progressive)


プログレッシブとは、映像を構成するフレーム(静止画)を分割せずに、すべての行を同時に表示する映像表示方式です。インターレース方式のような「ちらつき」や「櫛状のノイズ」が発生せず、より自然で高精細な映像を表示できます。動きの速い映像でも残像感が少なく、クリアな映像を表示できます。
パソコンやスマートフォンなどのデジタルデバイスとの相性も良く、安定した映像を表示できますが、インターレース方式に比べてデータ量が大きくなります。

2. NTSC (National Television System Committee)


かつて北米や日本などで使用されていたアナログカラーテレビ放送方式の規格です。長年にわたりアナログテレビ放送の標準規格として使用されてきましたが、デジタルテレビ放送の普及に伴い、その役割を終えつつあります。


特徴

インターレース方式を採用しています。
フレームレートは29.97fps(フィールドレートは59.94フィールド/秒)です。
走査線数は525本です。
色信号の伝送方式にコンポジットビデオ信号を使用します。

3. PAL (Phase Alternating Line)


PALとは、主にヨーロッパやオーストラリアなどで使用されていたアナログカラーテレビ放送方式の規格です。


特徴

インターレース方式を採用しています。
フレームレートは25fps(フィールドレートは50フィールド/秒)です。
走査線数は625本です。
色信号の伝送方式にコンポジットビデオ信号を使用しますが、NTSC方式よりも色信号の安定性に優れています。

4. SECAM (Séquentiel couleur à mémoire)


SECAMとは、主にフランスや東ヨーロッパ、アフリカの旧フランスなどで使用されていたアナログカラーテレビ放送方式の規格です。


特徴

インターレース方式を採用しています。
フレームレートは25fps(フィールドレートは50フィールド/秒)です。
走査線数は625本です。
色信号の伝送方式に周波数変調を使用し、色信号の安定性に優れています。



5. アスペクト比


映像や画像の縦横比を表す数値です。例えば、「16:9」というアスペクト比は、横方向の長さが縦方向の長さの16/9倍であることを意味します。


 

 

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