動画・映像制作用語
【ロトスコープ】
R
rotoscope
ロトスコープとは、実写映像を1コマずつトレースしてアニメーションを作成する手法です。実写映像の動きを参考に、アニメーションにリアリティのある動きを与えることができます。
ロトスコープの制作過程
実写映像の撮影: まず、アニメーションにしたい動きを俳優やモデルに演じてもらい、それをカメラで撮影します。
トレース: 撮影した映像を1コマずつ、専用のソフトやツールを使ってトレースします。この作業は非常に手間がかかります。
アニメーション制作: トレースした線画に色や質感などを加え、アニメーションとして完成させます。
ロトスコープの優れた点
リアルな動き: 実写映像をベースにしているため、アニメーションに自然で滑らかな動きを与えることができます。
表現の幅: 実写映像をベースにしながらも、アニメーションならではの表現を加えることで、独特な世界観を創出できます。
キャラクターの個性の表現: 実写俳優の演技を参考に、キャラクターに個性的な動きや表情を与えることができます。
ロトスコープの難点
制作期間: 1コマずつトレースする作業は非常に手間がかかり、制作期間が長くなってしまいます。
コスト: 人件費やソフト代など、制作コストが高額になる場合があります。
表現の制約: 実写映像に忠実に再現するため、表現の自由度が制限される場合があります。
ロトスコープの活用例
アニメーション: 「リロ・アンド・スティッチ」や「ペインティング」など、特徴的な動きや表現で知られる作品があります。
ミュージックビデオ: ミュージシャンのパフォーマンスをロトスコープでアニメーション化することで、独特な映像表現を実現できます。
広告: 商品の特徴を分かりやすく表現するために、ロトスコープが使われることがあります。
【当サイト関連ブログ】
【関連用語】
1. トレース
実写映像の各フレームをなぞって絵を起こす作業です。実写の動きをアニメーションに変換する基本的な工程で、手作業でのトレースはもちろん、現在ではデジタルツールを使用した作業が主流です。動きの特徴や要点を捉えながら、アニメーション表現に適した形に再構築していきます。特にキャラクターの動作や表情の自然な表現を実現するために重要な作業工程となっています。
2. マスク
映像の特定の部分だけを切り抜く作業です。ロトスコープ技術を使用して、動く被写体の輪郭に沿って範囲を指定し、背景と分離します。実写とアニメーションの合成や、特殊効果の付加など、様々な映像表現に活用されます。デジタル作業では、ベジェ曲線やスプライン曲線を使用して、より精密なマスク作成が可能になっています。
3. キーイング
特定の色や輝度を抽出して透明化する技術です。緑や青のバックで撮影された実写映像から被写体だけを切り出し、アニメーションと合成する際に使用します。ロトスコープと組み合わせることで、より精密な抽出が可能になり、複雑な合成表現を実現できます。
4. モーショントラッキング
実写映像内の特定点の動きを追跡し、その動きデータを取得する技術です。取得したデータは、アニメーションや特殊効果を実写映像に合わせて動かす際の基準として使用されます。カメラの動きの解析や、被写体の動きの分析にも活用され、よりリアルな合成表現を可能にします。
5. レイヤー合成
実写とアニメーション、それぞれの要素を層状に重ねて一つの映像にまとめる作業です。各レイヤーの透明度や合成モードを調整することで、様々な視覚効果を生み出すことができます。実写映像をベースに、手描きのアニメーション要素や特殊効果を追加し、複雑な映像表現を構築していきます。