動画・映像制作用語
【つながらない】
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「つながらない」は、AカットとBカットの映像を連続させると、視聴者が混乱することを言います。映像業界の人はあたりまえのように使いますが、業界外の人はこの問題をあまり深刻にはとらえていないようですので説明します。
カットとカットが「つながらない」という事態は、さまざまな理由で発生します。
1. 動きの連続性の不一致
例えば、Aカットでコーヒーカップがテーブルの右側にあり、次のBカットで突然左側に移動しているような場合です。
人物の姿勢や位置が急に変わってしまう場合も、視聴者に違和感を与えます。
2. アングルの不適切な組み合わせ
例えば、正面からのショットの後に、同じ背景でほぼ同じ画角で撮影された横顔のショットを続けると、人物が急に向きを変えたように見えてしまいます。
アングルの変化が30度以下の場合、特に違和感が強くなります。
3. サイズの不自然な変化
ロングショットからいきなりクローズアップに切り替えるなど、ショットサイズの変化が極端すぎる場合。
段階的なサイズの変化を経ないと、視聴者の理解が追いつかないことがあります。
4. 時間の連続性の破綻
前のカットの動作が完了する前に次のカットに切り替わってしまう。
または逆に、同じ動作が重複して見えてしまう場合。
5. 照明条件の不一致
同じシーンなのに、カットごとに明るさや色温度が大きく異なる場合。
特に屋外撮影で時間帯が変わってしまった場合に起きやすい問題です。
つながらないカットは使えないから撮らないという判断
自身で編集している人なら、「つながらない=使えない」と理解しています。このことを知らない人は「映っているんだから、いいんじゃないの?」と考えがちです。
特に撮影現場に立ち会っているクライアントさんであれば、自身で社内に根回しして段取りした撮影ですから、「せっかく撮れるんだから、撮ればいいのに」と考えがちです。しかし、つながらないことがわかっているカットについて、ディレクターやカメラマンは、使えない映像を撮ってもどうせ使えないので、「撮りません」とにべもなく言います。
ちょっとカチンとくる場面だと思います。
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【関連用語】
1. アイマッチカット
人物の視線の方向を利用したつなぎ方です。例えば、人物Aが右方向を見るカットから、人物Bが左方向を見るカットへとつなぐことで、二人が向かい合っているような印象を作り出します。
2. モンタージュ
複数の異なるショットを組み合わせることで、新しい意味や印象を生み出す編集技法です。例えば、笑顔の赤ちゃんのショットと満開の花のショットを組み合わせることで、幸福感や希望を表現できます。
3. マッチカット
形や動きが似ている別のショットを繋ぐ手法です。例えば、回転するコインから、同じように回転する地球のショットへの切り替えなどが該当します。視覚的な連続性を生み出す効果があります。
4. カットアウェイ
主要なアクションから一時的に別のショットへ切り替える手法です。例えば、会話シーンの途中で窓の外の風景を見せるなど、場面の雰囲気や情報を補足する際に使用されます。
5. クロスカッティング
二つ以上の異なる場所で同時に進行する出来事を、交互に切り替えながら見せる手法です。追う側と追われる側のシーンを交互に見せることで緊張感を高めるなど、ドラマティックな効果を生み出せます。
6. カット割り
映像作品を構成する最小単位である1カットを一つの作品をどのように複数の映像(カット)に分けて撮影し、それらをどのように組み合わせるかを計画することです。